里山日記

北摂の里山近くに住んでいます。里山をぶらぶら歩きながら撮った虫や鳥、花の写真を載せています。時には旅先で撮った写真も載せます。

2015年01月

昨日の続きで、大阪市鶴見区にある咲くやこの花館でのシダ調べの結果です。昨日はやや大型のシダを紹介したので、今日はもうちょっと小型のシダをお見せします。といっても結構大きなシダが多いのですけど・・・。

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熱帯雨林植物室の池の中に生えていました。かなり大きなシダです。イノモトソウ科ミミモチシダ(Acrostichum)属のミミモチシダです。日本では沖縄で自生していますが、全熱帯域に広く分布しているそうです。写真の右端に羽片が細くなっている部分が見えますが、あれが胞子葉です。

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こちらは栄養葉です。

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ソーラスは胞子葉の羽片の裏にびっしりついていました。

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これはアジアンタム・ペルーウィアヌムという名のシダです。学名で書くと、Adiantum peruvianumです。イノモトソウ科のホウライシダ(Adiantum)属に属しています。エクアドルからボリビアにかけての南米に分布しているようです。

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羽片とその裏側のソーラスの写真です。ソーラスは羽片の縁についています。ちょっとホウライシダ風の感じですね。

それにしても、シダの分類がしょっちゅう変わってややこしいですね。ホウライシダ(Adiantum)属は私の持っている「野草検索図鑑 8シダ」(学研、1985)によるとワラビ科に入っています。「シダの図鑑」(保育社、1986)と「日本の野生植物 シダ」(平凡社、1992)、「写真でわかるシダ図鑑」(トンボ出版、2006)によるとホウライシダ科になっています。さらに、DNAによる新分類を載せた「植物分類表」(アボック社、2009)によるとイノモトソウ科に移されています。咲くやこの花館の名札にはイノモトソウ科(ワラビ科)となっていて、一番新しい分類になっていました。植物園も大変ですね。分類がたびたび変わるので・・・。

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次はコモチシダです。コモチシダはシシガシラ科コモチシダ(Woodwardia)属に属します。名前の通り、葉の表側に子供のシダができています。名札がなかったので、在来種なのか、外国の種なのかは分かりません。(根元の方を調べてみたら名札が見つかりました。どうやら、本州南部に分布するハチジョウカグマというコモチシダの変種のようです

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子シダは小羽片の中肋に沿って左右に分布しています。もう少し拡大します。

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小羽片の表面にぽこっぽこっと膨れている長細い部分が見えますが、その裏側にソーラスがあります。ソーラスの脇あたりから発芽しているようです。

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温室内では葉に触ってはいけないので、斜め横から写しました。先ほどの膨らみに対応するソーラスが中肋に沿って並んでいますね。

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次はコバルトシダです。名前の通り、葉が青く光っています。これはウラボシ科ヌカボシクリハラン(Microscorum)属に属しています。名札にはMicrosoriumとなっていたのですが、これは綴り違いで、どちらも使われているようです。

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自然光で撮るとこんなに青く写るのですが、

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フラッシュをたくと緑色になってしまい青い美しさは出せません。2番目の写真をよく見ると、ちらっとソーラスも写っていたのですが、ないだろうと思って写しませんでした。

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最後はこの蛇のようなシダです。これがヒカゲノカズラだといっても信じられないくらい太いです。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ(Lycopodium)属のムカデカズラという名だそうです。アフリカ、オーストラリア、アジア、ポリネシアなどに広く分布しています。ちょっと拡大してみます。

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こんな感じです。ヒカゲノカズラの仲間は胞子囊穂というのができるのですが、ちょっと見た感じではなさそうですね。

これで写してきたシダは全部です。シダはまだまだたくさんあったのですが、名札探しとの戦いになりそうです。今度行った時にはもう少し頑張ってみます。

昨日は大阪市鶴見区にある「咲くやこの花館」に行ってきました。ここには花博のときに作られた日本最大級の温室があり、2,600種、15,000株の植物が栽培されているそうです。家の周りのシダ調べもだいたい種類が尽きてきたので、ちょっと気分転換に行ってみました。

熱帯雨林植物室にはランがいっぱい咲いていましたが、それには目もくれず、シダばかり見てきました。普段、シダにはあまり気を止めなかったのですが、いざ見てみるとやたらいっぱいあります。しかも、大小さまざまなシダが密生していて、名札があってもどれがどれだか分からない状態です。係の人に名前を尋ねたのですが、あまりシダのことを聞く人がいないせいか、専門の方も調べに来られ、すっかりお世話になってしまいました。ここで、謹んでお礼を申し上げます。

まず、熱帯雨林植物室に入ってすぐに気がつくのはこのシダです。

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プラティケリウム・ステマリアという名前ですが、学名ではPlatycerium stemariaです。ここでは鹿の角に似ているとして展示されていました。アフリカ西部から中部に分布するウラボシ科のシダです。Platycerium属は日本語でビカクシダ属と呼ばれています。これのソーラスは変わっています。(その後、もう一度行って調べてみたら、Platycerium wandaeであることが分かりました

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葉裏の一部にベトッとついた感じです。

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ちょっと拡大してみましたが、細かいつぶつぶは見えますが、これと言った構造は見えません。

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そのすぐ近くにありました。名札にはシマオオタニワタリ 'アウィス'とありました。学名で書くと、Asplenium nidus L. cv. Avisだそうです。このL.はリンネを意味するLinnaeusの略で、cv.はcultivarで栽培種を意味し、最後のAvisが園芸品種を意味しています。つまり、野生種ではなくて園芸種ということですね。シマオオタニワタリは、こんなに大きくても、チャセンシダ科のようです。Asplenium属は日本語ではそのままチャセンシダ属です。

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これがソーラスです。葉脈に沿って、長さが不揃いに並んでいます。日本では屋久島、種子島以南に分布していますが、アフリカ、アジアにひろく分布しているようです。

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次はこのシダです。いくつかシダが見えますが、中央にある大き目のシダです。これはブラジルシシガシラという種だそうです。学名はBlechnum brasilienseです。シシガシラ科のヒリュウシダ(Blechnum)属で、種名通り、ブラジル、ペルーに分布しているようです。この上に見えているのが胞子葉のようです。

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ソーラスは軸に沿って二列並んでいました。

同じヒリュウシダ属で次のようなシダもありました。

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これは栄養葉と胞子葉がはっきり分かれています。

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これは胞子様の拡大です。ちょっと枯れかけているのかもしれませんが、かなり細いですね。

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これはその裏です。やはり、軸にそってソーラスができています。この種はBlechnum gibbumといい、やはりシシガシラ科ヒリュウシダ属です。このシダはフィジー、ハワイ、ニューカレドニアに分布しています。栽培品種もたくさん出回っているようです。

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頭の上を覆うようにシダが茂っています。何か分からず、係の人に尋ねた種でした。これが有名なリュウビンタイだったみたいです。リュウビンタイ科リュウビンタイ(Angiopteris)属に属しています。

ちょうど下から葉の裏側が見えるので、見上げるようにして撮影しました。

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さらに拡大してみます。

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こんな風に縁からちょっと離れたところにソーラスが並んでいるのが見えます。伊豆、東海、紀伊南部、四国南部、九州南部に分布しているようです。野生のものが見てみたいです。

次はヘゴ科ヘゴ(Cyathea)属のヘゴです。ここにはヘゴとヒカゲヘゴという2種があって、どれがそれだかよく分からなかったのですが、とにかく写真を写してきました。家に戻ってから調べて見ると、葉柄の基部がいつまでも幹に残るのがヘゴ、葉柄が取れて茎の表面に逆「八」の字の模様がつくのがヒカゲヘゴのようです。

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葉は高い部分にだけついていて幹には葉柄の基部は残っていません。幹を見てみると、

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葉柄が取れた跡で、逆「八」の字の模様があります。従って、これがヒカゲヘゴの方だと分かります。

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上の方で茂っている葉の裏を見ると、ソーラスがぎっしり。これは2階の窓から写したものです。

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一方、こちらの写真のヘゴは幹に葉柄の残りがいっぱいついています。従って、これがヘゴのようです。

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ソーラスはやはり葉裏にぎっしりでした。

まだまだあったのですが、次回に回します。

先日、池田市五月山にある杉ケ谷にもう一度行ってみました。シダはたくさん生えていたのですが、あまりにいっぱいあり過ぎてよく分からなかったからです。

でも、出だしでつまづきました。

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このシダがオオイタチシダなのか、ちょっとツヤがないのでヒメイタチシダなのかがよく分かりません。一応、各部の写真を載せておきます。

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羽片はこんな感じで、ソーラスはほぼ中央についています。

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葉柄下部と羽軸の鱗片です。そう思うと葉柄下部の鱗片の縁は淡くなっています。また、羽軸の鱗片は袋状になっていない感じで、ヒメイタチシダかなとも思われます。「写真でわかるシダ図鑑」にはオオイタチ、ヤマイタチ、ヒメイタチの3種は「イタチシダ3人組」としていて、もっともありふれていて、なおかつ、初心者に意地悪をする厄介者ですと書いてありますが、その意味がよく分かりました。

次はイノデです。

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道沿いには綺麗に開いたイノデがなかなか見つからなくて、いつもこんな感じのものばかりです。ツヤがあって、葉軸基部の鱗片の幅が広く、それで、ソーラスが中間だとイノデだというので調べてみました。

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ツヤはありそうです。

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鱗片の幅もかなり太いです。

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それにソーラスも中間のようです。ということで、やはり普通のイノデなのでしょうね。別の種類が見つからないとなかなか比較ができません。

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次はこのシダです。最下羽片の第1小羽片が非常に大きいので、カナワラビの仲間ですね。しかも、頂羽片がはっきりしています。ということで、ホソバカナワラビだろうと思いました。

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これは最下羽片の辺りです。

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そして、これがソーラスです。

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その次はこのシダです。独特の格好をしているので、おそらくハカタシダかなと思いました。似た種のオオカナワラビとはソーラスの位置で分かるので、調べてみました。

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中間なので、やはりハカタシダみたいです。

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これは姿形からイブキシダかな。

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羽片の拡大です。

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最後はこのシダです。おそらくコバノヒノキシダでしょうね。一応、ソーラスも見ておきます。

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ソーラスはこんな感じです。やはりコバヒノキであっていそうですね。

杉ケ谷は30分もあれば登れるところなのですが、ゆっくり時間をかけて歩きました。それでも、新しく見つけた種はこの間見つけたクリハランだけ。昨年12月初めから始めたシダ調べ。この1ヶ月で50種近く見ることができたのですが、そろそろ行き詰ってきたようです。でも、見る人が見ると、もっともっといっぱい見つけるのでしょうけど・・・。この日も青いルリビとミヤマオオジロを見ました。シダを見ているときはやたら鳥が多い感じなのですが・・・。

里山のシダ調べもそろそろネタが尽きてきたようです。初めての種類にはなかなか出会わなくなってしまいました。それでも、今日はぶらぶらと家の近くを歩いてみました。

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ちょっと変わったシダがあったので、初めてのシダかなと思って期待して写したのですが、家に帰ってから調べてみるとどうやらいつものフモトシダだったようです。

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これは羽片の拡大です。

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そしてこれがソーラスです。フモトシダというともう少しか弱い感じかなと思ったのですが、これはだいぶゴツイ感じがしました。

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今日は山の横を走る用水路に沿って歩いてみたのですが、山側にこのシダがいっぱいでした。ヒメシダかなと思ったのですが・・・。

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でも拡大してみると、茎に毛がいっぱい生えているので、これもいつものイワヒメワラビみたいです。

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ソーラスはほとんどついていませんでした。

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オオバノイノモトソウです。以前の写真がセフリイノモトソウだったので、もう一度載せておきます。

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これは間違いなくオオバみたいです。

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ついでに胞子葉の裏も写しておきました。シダで目立ったのはこのくらいでした。

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コケも写してみました。何となく可愛いですね。

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これはまた別種みたいですね。コケはなかなか名前が分かりません。

シダやコケを見ながら歩いていると、結構、鳥がいます。でも、カメラの準備をしていないので、残念ながら写せません。今日は青いルリビとミヤマホオジロがいたのですが・・・。

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ミヤマホオジロはこれがやっと。

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最後はフユイチゴの赤い実でした。

新年になってから寒い日が続いているので、ついつい不精になって散策をやめていました。昨日は用事で出かけたついでに、近くの池田市五月山の杉ケ谷というところを歩いてみました。ここは五月山に登るコースの一つになっているのですが、沢沿いの道なのでシダの多いところです。

緑のセンターの横の道を登って行くと、沢沿いに出ます。これからはシダがいっぱいです。あまりに多すぎて、せっかく、感が戻りかけていたのですが、どれがどのシダやらさっぱり分からなくなりました。それで、ともかく見たことのないシダを探して歩いて行きました。

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そしてやっと見つけました。こんなシダです。ウラボシ科のクリハランだと思います。ちょっとヒトツバのようですが、葉脈がはっきりしていて違いは明瞭です。ただ、水際に生えているので、登山道から下の沢まで降りて行かないといけません。20年前はひょいひょいと降りて行ったのですが、今はやっとこさです。

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近くで見るとこんな感じの葉です。

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意外に大きな葉もあります。濡れていてずいぶんツヤのある感じでした。やはり葉脈がはっきりしていますね。

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裏返してソーラスも見てみました。葉脈の間に整然と並んでいますね。

今日は用事があったので、コースの1/3ほど来たところで引き返しました。でも、初めての種が見れたので、ちょっと気を良くして他のシダも見ていきました。

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まず、イノデの仲間です。綺麗な株を探したのですが、見つからなかったので、とりあえず近くにある株で調べてみました。「写真でわかるシダ図鑑」によると、イノデの見分け方は葉のツヤと葉軸基部の鱗片でしたね。

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葉にはツヤがややあります。

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鱗片が広いので、イノデ、イノデモドキ、オニイノデに絞られます。次はソーラスです。

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ソーラスはほぼ中間に付いているので、たぶんイノデでしょうね。

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次はこれです。外見からはたぶんオオカナワラビかなぁ。

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ソーラスは辺寄りなのでやはりオオカナワラビでしょうね。違うかな。

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リョウメンシダもたくさん生えていました。

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登山口の乾いたところには小さなミツデウラボシがいっぱいでした。

そのほか、ベニシダやイタチシダの仲間もたくさんあったのですが、見ていたらだんだん違いがわからなくなってきたので、今度もう一度行ってみます。

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