先日から家の周りのシダを調べ始めたのですが、今日はヤブソテツ、チャセンシダ、カナワラビなどです。
これまでこんなシダがあるとヤブソテツだと言っていましたが、どうやら事情が少し変わったようです。「写真でわかるシダ図鑑」(トンボ出版、2006)によると、これまで単にヤブソテツと呼ばれていた種は、実はテリハヤブソテツ Cyrtomium laetevirensで、ヤブソテツ C. fortunei var fortuneiとは別種ということになっているようです。
それではどうやって見分けるのかというと、「写真でわかるシダ図鑑」では、テリハヤブソテツの包膜径は1.1mmで、ヤブソテツの0.7-0.8mmに比べて明瞭に大きいこと、前者は暗緑色でツヤがあるが、後者は黄色っぽくツヤがないということぐらいしか書かれていません。また、テリハではないヤブソテツがどんな形のシダを指すのか、現状では「人によって違う」に近い不思議な状況にあるとのことです。この写真では2番めの写真ではツヤがありますが、一番上の写真ではほとんどありません。
そこで、少し調べてみました。まず、包膜径についてです。
この写真から、縮こまっていない包膜を探してその直径を計測しました。その結果、平均は0.98mmになりました。やはり少し大き目のようです。
ついでに包膜を拡大してみました。黒い線状の模様が入っています。周辺には毛のようなものは出てなくて、比較的滑らかです。
テリハヤブソテツとヤブソテツの違いをネットで探していたらこんな論文を見つけました。
C. S. Lee, K. Lee, and Y. Hwang, Korean J. Pl. Taxon. 43(3), 171-180 (2013) (pdf)
韓国の方の論文ですが、韓国でも日本と同じ種類のヤブソテツが生えているようで、ヤブソテツ属の検索表が載っていました。英文だったので少し訳してみると、
1. 羽片は革質または厚い紙質で、羽片の先端に鋸歯はない
......2. 羽片の基部は丸い、包膜の中心部分は黒褐色・・・・・・・・・・・オニヤブソテツ
......2. 羽片の基部は楔状、包膜全体が黒褐色・・・・・・・・・・・・・・・ナガバヤブソテツ
1. 羽片は紙質、羽片の先端に細かい鋸歯がある
......3. 羽片は狭い披針形、先端に行くに従って徐々に狭くなり、光沢がある・・・・テリハヤブソテツ
......3. 羽片は卵状の披針形、先端に行くと急激に細くなり、光沢はない
...........4. 軸に沿った鱗片表面は黄緑色、約15対の羽片がある・・・ヤマヤブソテツ
...........4. 軸に沿った鱗片表面は濃緑色、約30対の羽片がある・・・・・・・ヤブソテツ
検索する上で注目する点は、羽片の先端の鋸歯、羽片の形、色や光沢になります。上から2番めの写真を見ると、羽片の先端に鋸歯があることが分かります。これでオニヤブなどを除けます。さらに、羽片が長い披針形で光沢があることでテリハヤブにたどり着きます。この表現はなかなか微妙ですが、上から2番目の写真を見ると確かに長い披針形で光沢がある感じです。一番上の写真では光沢はないのですが、形は長い披針形です。微妙ではありますが、おそらく両方ともテリハヤブソテツなのでしょう。
次は民家の石垣にあったチャセンシダです。これにもイヌチャセンシダという似た種があります。違いは、チャセンシダは中軸の表側に2枚の翼があるのに対し、イヌは下側にもあって合計3枚あることです。そこで、実体顕微鏡で中軸を見てみました。
さらに拡大してみます。
軸上の両側に翼があります。下にはないようなので、チャセンシダで間違いないようです。
ちょっと暗かったのでフラッシュをたいたらピカピカに光ってしまいました。先端の部分を頂羽片といいますが、それがややはっきりしているので、オオカナワラビかハカタシダかなと思いました。
ソーラスは辺縁よりについているので、オオカナワラビかなと思いました。




これまでこんなシダがあるとヤブソテツだと言っていましたが、どうやら事情が少し変わったようです。「写真でわかるシダ図鑑」(トンボ出版、2006)によると、これまで単にヤブソテツと呼ばれていた種は、実はテリハヤブソテツ Cyrtomium laetevirensで、ヤブソテツ C. fortunei var fortuneiとは別種ということになっているようです。
それではどうやって見分けるのかというと、「写真でわかるシダ図鑑」では、テリハヤブソテツの包膜径は1.1mmで、ヤブソテツの0.7-0.8mmに比べて明瞭に大きいこと、前者は暗緑色でツヤがあるが、後者は黄色っぽくツヤがないということぐらいしか書かれていません。また、テリハではないヤブソテツがどんな形のシダを指すのか、現状では「人によって違う」に近い不思議な状況にあるとのことです。この写真では2番めの写真ではツヤがありますが、一番上の写真ではほとんどありません。
そこで、少し調べてみました。まず、包膜径についてです。

この写真から、縮こまっていない包膜を探してその直径を計測しました。その結果、平均は0.98mmになりました。やはり少し大き目のようです。

ついでに包膜を拡大してみました。黒い線状の模様が入っています。周辺には毛のようなものは出てなくて、比較的滑らかです。
テリハヤブソテツとヤブソテツの違いをネットで探していたらこんな論文を見つけました。
C. S. Lee, K. Lee, and Y. Hwang, Korean J. Pl. Taxon. 43(3), 171-180 (2013) (pdf)
韓国の方の論文ですが、韓国でも日本と同じ種類のヤブソテツが生えているようで、ヤブソテツ属の検索表が載っていました。英文だったので少し訳してみると、
1. 羽片は革質または厚い紙質で、羽片の先端に鋸歯はない
......2. 羽片の基部は丸い、包膜の中心部分は黒褐色・・・・・・・・・・・オニヤブソテツ
......2. 羽片の基部は楔状、包膜全体が黒褐色・・・・・・・・・・・・・・・ナガバヤブソテツ
1. 羽片は紙質、羽片の先端に細かい鋸歯がある
......3. 羽片は狭い披針形、先端に行くに従って徐々に狭くなり、光沢がある・・・・テリハヤブソテツ
......3. 羽片は卵状の披針形、先端に行くと急激に細くなり、光沢はない
...........4. 軸に沿った鱗片表面は黄緑色、約15対の羽片がある・・・ヤマヤブソテツ
...........4. 軸に沿った鱗片表面は濃緑色、約30対の羽片がある・・・・・・・ヤブソテツ
検索する上で注目する点は、羽片の先端の鋸歯、羽片の形、色や光沢になります。上から2番めの写真を見ると、羽片の先端に鋸歯があることが分かります。これでオニヤブなどを除けます。さらに、羽片が長い披針形で光沢があることでテリハヤブにたどり着きます。この表現はなかなか微妙ですが、上から2番目の写真を見ると確かに長い披針形で光沢がある感じです。一番上の写真では光沢はないのですが、形は長い披針形です。微妙ではありますが、おそらく両方ともテリハヤブソテツなのでしょう。


次は民家の石垣にあったチャセンシダです。これにもイヌチャセンシダという似た種があります。違いは、チャセンシダは中軸の表側に2枚の翼があるのに対し、イヌは下側にもあって合計3枚あることです。そこで、実体顕微鏡で中軸を見てみました。

さらに拡大してみます。

軸上の両側に翼があります。下にはないようなので、チャセンシダで間違いないようです。

ちょっと暗かったのでフラッシュをたいたらピカピカに光ってしまいました。先端の部分を頂羽片といいますが、それがややはっきりしているので、オオカナワラビかハカタシダかなと思いました。

ソーラスは辺縁よりについているので、オオカナワラビかなと思いました。


別に似た形のシダがあってこれもそうかなと思ったのですが、ソーラスは中央よりなので、こちらはハカタシダかもしれません。
次は溝の脇にあったシダです。これにも似た種があって、羽片の脈を見ないと分からないようです。仕方なく、もう一度行って見てきました。
このように隣どうしの脈が連結して網目状になっているのはイワガネソウ、これに対して連結していないのがイワガネゼンマイというようです。従って、イワガネソウのようです。(「写真でわかるシダ図鑑」によると、両者の雑種もあってイヌイワガネソウといわれているそうです。なんだかそれの葉脈と似ているような)
最後は簡単なワラビです。
これは拡大してみるとすぐに分かります。小羽片の先が長い変わった形をしています。
シダも22種目になって同定がかなり難しくなってきました。昔、家の周りを調べた時の記録を見ると70種ほどあったことになっているので、まだまだ先が長いのですが、少しずつやっていきます。

次は溝の脇にあったシダです。これにも似た種があって、羽片の脈を見ないと分からないようです。仕方なく、もう一度行って見てきました。

このように隣どうしの脈が連結して網目状になっているのはイワガネソウ、これに対して連結していないのがイワガネゼンマイというようです。従って、イワガネソウのようです。(「写真でわかるシダ図鑑」によると、両者の雑種もあってイヌイワガネソウといわれているそうです。なんだかそれの葉脈と似ているような)

最後は簡単なワラビです。

これは拡大してみるとすぐに分かります。小羽片の先が長い変わった形をしています。
シダも22種目になって同定がかなり難しくなってきました。昔、家の周りを調べた時の記録を見ると70種ほどあったことになっているので、まだまだ先が長いのですが、少しずつやっていきます。