里山日記

北摂の里山近くに住んでいます。里山をぶらぶら歩きながら撮った虫や鳥、花の写真を載せています。時には旅先で撮った写真も載せます。

2014年12月

家の近くの山を歩いていて見つけたシダの記録で、昨日の続きです。今日は正月飾りに用いられるウラジロからです。

イメージ 1

ウラジロはこんな風に近くの山の斜面に群生していました。

イメージ 2

こんな風に茎が真っすぐ伸びてそれから二股になるように葉がつきます。

イメージ 3

葉の拡大です。意外にツヤがあります。

イメージ 4

ウラジロは葉の裏が白いのでこんな名前が付いたのですが、白いといっても緑白色ですね。

イメージ 5

二股になったところから毎年新たな茎を上に伸ばし、そして再び葉が二股になって出るので、葉が2段から3段に積み重なるような形になります。二股の部分を見ると、小さな葉が出始めていました。

イメージ 7

その部分を下から見た写真です。茶色っぽいものが見えますが、これが休止芽なのでしょうね。胞子嚢(ソーラス)は見つからなかったのですが、時期が違うのでしょうか。

イメージ 6

コシダもウラジロと同じ仲間でウラジロ科のシダです。私の住む辺りではコシダはあちこちで大群落を作っていますが、ウラジロはそれほど多くありません。

イメージ 8

葉の拡大です。

イメージ 9

それから二股の部分の拡大です。これはウラジロと異なり休止芽を作らないので、上へは積み重なっていきません。その代わり、二股に分かれ、また、その先が二股に分かれるというような伸び方をします。これもソーラスがなかなか見つかりませんでした。

イメージ 10

トウゲシバを見つけた崖の下の沢近くに沢山生えていました。夏緑性なのか、大部分は枯れています。

イメージ 11

葉の拡大です。小羽片がさらに細かく分かれています。羽軸に毛がいっぱい生えています。このことからおそらくイワヒメワラビでしょう。

イメージ 12

ソーラスも探してみました。やや辺縁よりについています。

イメージ 13

こちらはハシゴシダです。この間の写真があまり良くなかったので、もう一度写しました。

イメージ 14

これは葉の拡大です。

イメージ 15

そしてこれはソーラスです。やはり辺縁よりについています。

イメージ 16

次はイノデです。先日、箕面公園でも見てきました。「写真でわかるシダ図鑑」を読むと簡単な見分け方が載っていました。まず、葉にテリがあるかどうかを見て、それから葉軸基部の鱗片の幅が広いか狭いかどうかを見ます。

イメージ 17

これは最下羽片の写真ですが、確かにテリがあります。

イメージ 18

基部の鱗片はこんなにゴワゴワにしています。幅はかなり太いものです。図鑑によると、これらのことからイノデモドキ、イノデ、オニイノデの3つに絞られ、その中から選ぶことになります。小羽片が軸に流れてつくとオニイノデですが、これは流れていません。残りのイノデとイノデモドキはソーラスの付き方で見分けます。ソーラスを探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。でも、おそらくイノデでしょうね。

12月初めから始めたシダ調べだったのですが、もうすでに44種のシダを見ることができました。と共に、次第に昔の感が戻ってきて、最近は歩いていてちょっと見るだけで大体分かるようになってきました。家の近くの道はほとんど歩いたので、これからは少し山の中に入らないといけないかもしれません。

家の近くの道沿いはもう全部見てしまったので、昨日は道の脇の崖を降りて行きました。滑りやすい坂を降りて行くと、下には小さな沢が流れています。その中間付近でトウゲシバを見つけました。

イメージ 1

こんな感じの塊があちこちにあります。どこかにあるはずだと思って探していたので、見つけてちょっと嬉しかったです。

イメージ 2

イメージ 3

葉を拡大してみました。トウゲシバにはホソバ、ヒロハ、オニの3つの変種があり、区別がなかなか難しいです。オニは葉の根元になって急に幅が細くなって基部には葉柄がはっきりしています。従って、この写真とはかなり違います。一方、ホソバとヒロハの違いは微妙です。「写真でわかるシダ図鑑」によると、ホソバは細い葉が下向きに垂れがちにつき、生態的には高地に絨毯状に生育するとのことです。「日本の野生植物 シダ」によると、ホソバは葉の幅のもっとも広いところは2mm以下、ヒロハの幅は2-3mmということです。この写真の個体はなんとも言えないのですが、何となくヒロハの方かなと思っています。(やはり、これは皆さんがホソバトウゲシバとしている方と似ていますね)

イメージ 4

胞子嚢は茎についている黄色いものがそうです。毎年伸びては胞子嚢をつけるので、茎が段々模様になるようです。

イメージ 5

次はこのシダです。葉を拡大してみます。

イメージ 6

イメージ 7

葉に大きな鋸歯が見えます。このことからオオハナワラビではないかと思います。この間、フユノハナワラビを見つけた辺りにたくさん生えていました。

イメージ 8

そしてこれは胞子嚢です。

イメージ 9

ついでにコケも撮ってきました。名前が分からないので、この間からの通し記号を使ってコケFとしておきます。にょきっと突き出た胞子体が面白いので、ついそればかり撮ってしまいます。このコケは先端がやけに長細い感じがします。ちょっと拡大してみます。

イメージ 10

イメージ 11

胞子体の先を「蒴(さく)」といいますが、その先端に載っている紙のようなものが帽子または帽、帽子を取ると出てくる先の尖ったものを「ふた」というようです。

イメージ 12

そして、これは下にある葉の部分です。

次のコケは胞子体がなかったのですが、広がって生えていたので写してみました。

イメージ 13

これも葉を拡大してみます。

イメージ 14

名前はやはり分からないので、通し記号でコケGとしておきます。コケFと結構似ている感じです。コケも写してみると、なかなか面白いですね。

つづきは後ほど。

12月24日と25日両日に大阪北部の箕面公園で見たシダの最後です。

イメージ 1

今日はイノデについてです。昔、シダを調べていた時もイノデがなかなか分からなかったので、今回も後でと思っていたのですが、今日が箕面公園のシダの最後になるので取り上げます。

イメージ 2

羽枝の基部の拡大です。葉にツヤがあります。

イメージ 3

それからソーラスです。ほぼ中肋と縁との中間にあります。「写真でわかるシダ図鑑」によると、イノデの場合はそのほかに葉柄基部の鱗片についての情報もいることが分かります。

イメージ 4

この写真は基部よりもう少し上の部分でしたが、明るい茶色でやや幅の広いことが分かります。

さて、「写真でわかるシダ図鑑」には、この難しいイノデ類を実に簡単に見分けられる方法について書かれていました。残念ながら岡山県限定のようですが、私の住む大阪でも十分通用しそうです。まず、イノデをその葉にツヤがあるかないか、及び、基部の鱗片の幅が広いか狭いかのそれぞれ2つに分類します。つまり、全部で4つに分類することになります。それぞれに入る種の中からソーラスなどを手がかりに調べればよいのです。

この場合でいえば、上の写真から葉にツヤはありそうです。また、写真では不確かですが、基部の鱗片も幅が広そうです。この2つの条件から、イノデ8種のうち、イノデモドキ、イノデ、オニイノデの3種に絞ることができます。さらに、イノデモドキのソーラスは辺縁よりなので除外し、オニイノデは石灰岩地にあり、棘が目立ち、小羽片の柄が流れて羽片軸につくところから除外でき、結局、イノデが残ります。なるほど、この方法なら簡単に見分けられそうです。イノデの見方が少し分かってきたので、これからはもうちょっと積極的に見ていこうかなと思っています。

イメージ 5

次はヤブソテツ類ですが、葉にかなりのツヤがあります。これは滝に近いところの崖に生えていました。ヤブソテツ類の見分け方は、まず羽片先端の鋸歯の有無です。そこで、そこを拡大してみます。

イメージ 6

ご覧のように先端には鋸歯がありません。

イメージ 7

さらに、ソーラスの包膜は中心が暗くて周辺が薄い色をしています。

「日本の野生植物 シダ」の検索表によれば、頂羽片があること、羽片基部に顕著な耳状突起がないこと、羽片先端が全縁であることで、オニヤブソテツにたどり着きます。「写真でわかるシダ図鑑」では、羽片先端が全縁の種として、オニヤブソテツとナガバヤブソテツが挙げられています。ただし、ナガバヤブソテツは羽片基部の耳がなくて「なで肩」になっている点が違いますが、共に、包膜の中心が黒くなるようです。今回の種は小さな耳があるので、やはりオニヤブソテツかなと思うのですが、葉はそれほど厚くない感じで、また、オニヤブソテツは海岸に分布するということで、少し疑問に思っています。

この間からの続きで、大阪府北部にある箕面公園のシダ調べの結果です。今日はカナワラビ類に挑戦してみます。

イメージ 1

今日のはじめはこのシダです。川に沿った空き地にたくさん生えていました。羽片を拡大してみます。

イメージ 2

頂羽片がはっきりしていなくて、羽片が密になっているようすから、コバノカナワラビのような気がします。このシダは二形になっていました。

イメージ 3

イメージ 4

この羽片の切れ込みが大きな方が胞子葉みたいです。

イメージ 5

イメージ 6

ソーラスは円の一部が切れたような(円腎形というようです)形で、中肋よりについていました。

イメージ 7

こちらのシダはもう少し山の中にありました。フラッシュをたいたら光ってしまいました。それだけツヤがあるということでしょうね。こちらのシダは頂羽片がはっきりしています。従って、ホソバカナワラビの方かなと思っています。

イメージ 8

これは羽片の拡大です。

イメージ 9

ソーラスは中間からやや中肋よりでした。このシダも実はニ形で、これは胞子葉の方だったのですね。気が付きませんでした。(「写真でわかるシダ図鑑」によると、カナワラビ類の群生の仕方も見分け方の重要なポイントだそうです。その意味では、上のコバノカナワラビらしい株は一箇所からたくさんの葉がでているような感じで、下のホソバカナワラビらしい株は2-3m四方にいっぱい生えているような状態でした。これに対して、後で出てくるハカタシダはポツッと単独で生えていました)

イメージ 10

イメージ 11

変わった形のシダです。川の両側の石垣のところに川に張り出すようについていました。川には柵があったので、柵の隙間から身を乗り出すようにして写しました。おそらくヒメカナワラビの仲間だと思います。カナワラビという名前がついていますが、実はイノデの仲間のようです。

イメージ 12

イメージ 13

ソーラスは中間からやや中肋よりについているようです。

このシダにも、変種のオオキヨズミシダというのがあって、区別が難しそうです。「写真で分かるシダ図鑑」によると、ヒメカナワラビは小羽片に柄があり、葉柄の鱗片の色が暗い、一方、オオキヨズミシダは小羽片は羽軸基部以外は羽軸に流れ、葉柄の鱗片の色は明るいとのことです。「日本の野生植物 シダ」によると、オオキヨズミシダでは、羽軸の外半分では小羽片の基部が流れて翼となるとのことです。上の個体はどちらかはっきりしないのですが、何となくヒメカナワラビの方かなと思っています。

イメージ 14

これは頂羽片がはっきりしているので、ハカタシダかなと思ったのですが、念のためソーラスを見てみました。

イメージ 15

ソーラスは中間付近についているので、やはりハカタシダだろうと思います。

先日来、シダを調べ始めたのですが、箕面公園も含めてもう40種に近づいてきました。そろそろ家の周りでは新しい種に出会える機会が減ってきました。ただ、20年前に調べた時は、沢という沢にすべて入って調べたので、もう少し頑張らないといけないかな。

最近、毎日のようにシダの撮影に行っているのですが、撮るものがだんだんなくなってきました。それで、ちょっとコケも撮影してみました。名前はまったく分からないのですが、胞子体の形が何となく面白くて・・・。

イメージ 2

大きな石の上に一面生えていました。胞子体の形が面白いですね。名前が分からないので、コケAとしておきます。

イメージ 1

先端の部分を拡大してみました。帽子のようなものをかぶっているのですね。

イメージ 3

下の葉の部分です。先端が光ってみずみずしく、大変綺麗ですね。

他にも探してみました。

イメージ 4

次はこれです。道路わきの石垣に生えていました。ちょっと地味なコケです。これをコケBとしておきます。

イメージ 5

先端を拡大してみました。やはり帽子をかぶっています。

イメージ 6

これは下の葉の部分です。

イメージ 7

これはよく見るコケです。どこに生えていたかなぁ。やはり石の上だったかな。これはコケCとします。

イメージ 8

なんか紙のようなものが付いている感じですね。

イメージ 9

葉の部分ですが、ちょっとはっきりしませんでしたね。

イメージ 10

次はこれです。葉の部分が今までとはだいぶ違いますね。これをコケDとしておきます。

イメージ 11

今度は帽子みたいなものが目立ちませんね。

イメージ 12

これが葉の部分です。

イメージ 13

最後はこのコケです。ちょっと変わった形の先端ですね(蒴というようです)。これをコケEとしておきます。

イメージ 14

これは帽子をかぶっていないのかな。

イメージ 15

葉の先端に棘があるのか白く光っていますね。

こんな写真から名前が分かるとよいなと思いますが、まだ、どうやって名前を調べたらよいのやらさっぱりわかりません。胞子体一つだけを写すときは拡大すればよいのですが、全体を撮るときや葉をとるときは、被写体が二次元的に広がっているので、どこにピントを合わせてよいやら分かりません。もう少し練習してみます。

↑このページのトップヘ